「大賞」(国土交通大臣賞) |
■地区名:ロープウェー街・大街道周辺地区 ■面積:約5.6 ha ■所在地:愛媛県松山市 ■応募者:松山ロープウェー商店街振興組合、松山ロープウェー中央商店街振興組合、 松山大街道商店街振興組合、森ビル株式会社、国土交通省松山河川国道事務所、松山市 |
■地区の概要: 当地区は、国道11号を中心に、松山城へ続くロープウェー街を有する観光エリアと、市内最大のアーケード商店街(大街道)を有する商業エリアが隣接している。 観光客数の減少や空き店舗の増加、大型商業施設の閉館等を契機に、まちづくりへの機運が高まり、「景観」をキーワードに、地域と行政が一体となって景観整備が進められ た。 市の道路整備では、無電柱化に加え、舗装材やストリートファニチュアの素材、色彩の統一を図ることで、統一感のある景観を形成。併せて、ロープウェー街では、地元が作成した任意の「まちづくりデザインガイドライン」に基づく沿道建物のファサード整備が行われ、大街道では、エリアの特性を生かし ながら、再開発ビルの建設、アーケードのリニューアル等が統一的な景観コンセプトのもとに行われた。 こうした官民連携の取り組みによって、地域主 体のイベントが生まれ、地域への愛着と誇りが高まったほか、地方都市の地価が減少する中、全国トップクラスの上昇率を示したほか、空き店舗もほとんどない 状況となるなど、地域の活性化が図られ、地域経済へも好影響を生み出す結果となった。 また、地元は引き続き、新規出店テナントに対してファサードデザインの審査や指導を継続、行政は、景観計画区域、松山城の眺望を守るための眺望保全区域に基づく行為の制限によって、良好な景観の形成・保全に向けた取り組みを進めていく。 |
■審査講評: 「シャッター通りから生還した街」ロープウェー街は、まさにその名に相応しい場である。全国に点在する数多くの死んだ街のなかで、ここは竣工後10年余りを経て、見事に生き返っている。 かつては、この街もまた薄暗いアーケードと、シャッターが閉まったままの店舗が続く商店街であった。しかし今、松山市民の誰もが「美しい、きれいになった」と称賛する。 その、デザイン手法自体は、他の街でも「計画」されているガイドラインと大きな差異はない。「既存 アーケードの撤去・店舗ファサードの素材と色彩の共通化・店舗看板のサイズの統一・突出し看板の共通デザイン化・統一オーニングの採用・オリジナルデザイ ンの街路照明やストリートファニチュアの設置・その他多様な運営基準の設定など」そのどれを取っても特別なものではない。 しかし、「徹底した実施」がなさ れていることが、決定的な違いだ。 その背景には、この街を運営する人々の並々ならぬ熱意がある。 その結果、ごく一部の例外を除き、見事な統一がなされた。そして、空き店舗ゼロという、街の活力を再生したのだ。 夜ともなれば、この道を行き交う恋人たちの「とっても素敵な街ね、、、」という囁きが聞こえてくる。 |